母の本に伴走しながら、編集について考えたこと
ニュースレターの発信が、すっかり止まってしまいました。スミマセン。
noteのほうには書いているのですが、家族のケアが始まり、ちょっとバタバタしておりました。 ただ、ケアと言っても僕の場合、いわゆる介護というより、「母の発信のお手伝い」と言ったほうが正確かもしれません。
▼経緯を書いたnoteはこちら
詳細は↑のnoteを読んでいただけたらと思うのですが、この3月、私の母にがんが見つかりました。そして告知された当日、もともとライターだった母が「当事者になったのだから、この経験をもとに本を書けないか」と提案してくれたのが、すべての始まりでした。
連日、母の話を聞いて、企画書にまとめ、いくつかの出版社に企画を投げ、会いに行き、やり取りを重ねて……とやっているうちに、気づけばいろいろな発信の手が止まってしまっていました。恐れ入ります。
■ 企画を持ち込む側になって、学んでいること
まだまだ悪戦苦闘中ですが、企画を持ち込む側としてさまざまな媒体の編集者の方と触れ合うにつけ、僕自身も多くのことを学んでいます。
今回出したい企画は、一口に言ってしまえば「がんになった人の体験記」です。
そういうテーマを扱った書籍はあまたあるので、その中でも「当事者本人の自己決定」や、「いざというときに助け合えるコミュニティをどう作っていくか」を主題にしたいと思っています。
ただ、僕自身も医療系のライター/編集者をやっているのでなんとなくわかるのですが、こういう企画って「まじめな人にしか読まれないもの」になりがちだったりもします。でも読者として本当に読んでほしいのは、むしろ「まじめじゃない人」(普段からそういうことを考えない人)だったりして。だからこそ、実現が難しい。ううむ。
もっと万人受けする、派手さのある題材を扱うか。
あるいは、まじめな内容を扱うなら、有名人とコラボレーションするなど、主題とは別のところから興味のフックを引っ張ってこないと、なかなか形にならない。
そんなことを、いろんな会社の編集者の方とやり取りするにつけ、編集者の方によってスタンスはさまざまだと感じるようになっていきました。
■ 編集者には「3つのスタンス」があるのかもしれない
よくあるスタンスの1つ目は、「そういう万人受けしないテーマは、部数が伸びないんですよね……」と言われ、そこで止まってしまうケース。
わかるんですけど、もうちょっと一緒に頭をひねってもらえると……と思う反面、これは自分自身もやりがちな進め方でもあります。企画がバンバン上がってくる環境だとこうなりがちですし、書籍のように1つ作るのに多大な労力がかかる場合は特に、過去の成功律と距離感があると慎重な判断が求められるのも納得できます。媒体ごとに「こういう書籍/記事なら数字を稼げる」という肌感覚があるので、「それに合うかどうか」で物事を判断し、そうでないものはスパッとNGにしてしまう、という感じです。
よくあるスタンスの2つ目は、そのままだと部数が伸びないことを踏まえて、「どうすれば多くの人に読んでもらえるか/刺さるメッセージになるか」を一緒に考えてくれるケース。
媒体ごとに暗黙的に存在する「この型なら読んでもらえる」という枠に、どう落とし込めるかを考え、一緒に歩んでくれる感じです。すごくありがたいですし、企画を出す側としても「そういう切り口もあるのか」と勉強になります。
企画を出す側としてありがたいのは、もちろん2つ目です。
でも、いろいろな編集者の方とやり取りをしていて、もう一つ、3つ目のスタンスがあることに気づきました。
それは、媒体の持っている「型」にとらわれず、そもそもどんなメッセージを伝えたくて、そのために何をするのか——という前段のところから話に乗ってくれるケースです。
伝えたいメッセージがあったとして、その根っこにあるエピソードや考えを引き出してもらったうえで、「それを伝える手段は、はたして出版が最適解なのか」「ネットやSNSをどう使っていくか」など、より広い視点で一緒に考えてくれる感覚。すでに出来上がった「型」や「成功律」に当てはめるのではなく、新しい成功パターンをこちらと一緒に作っていこう、、みたいな野心を、暗黙のうちに感じました。しびれます。
こんなふうに考えると、編集者には次の3類型がいるのかもしれません。
① 「成功の金型に当てはまるか」を見る編集者
② 「成功の金型にどう合わせるか」を考える編集者
③ 「既存の金型なんか使わない」編集者
ここでいう「金型」とは、媒体ごとに積み上がってきた“こういう企画なら売れる”という成功パターンの型のことです。
①はその金型に合うものだけを通し、合わなければ止まる。
②は金型を前提に、企画をどう成形すれば流し込めるかを一緒に考えてくれる。
そして③は、そもそも金型を疑い、メッセージそのものから新しい型をつくろうとしてくれる。そんなイメージです。
AIが登場すると、それこそ「金型ありき」の編集は、AIに任せたほうがいい時代がやってくるはずです。
だとすると、「金型から外れた思考」で、目の前の事象や考えを、どうすれば多くの人に深く刺せるか。それを考えることこそが、これからの編集者のテーマなのかもしれないなぁとも思っています。
■ そういえば、このメルマガの名前は「みんなの編集会議」でした
そんなこんなで、母の出版に伴走しながら、僕自身も編集者として多くを学んでおります。 その過程でこのニュースレターの更新も止まってしまったわけですが……いざ書こうとすると、何を書けばいいのか悩んでしまっていました。
でも、ふと思い出したことがあります。
このニュースレターの名前は「みんなの編集会議」だったなぁ、と。
メルマガをきっかけに、編集会議みたいにいろんな企画が出て、それに対する反響や意見が飛び交い、そこから新しい知見が生まれる。そんな場所になればいいなと思って名付けた記憶があります。
そう思えば、母の出版にまつわる僕自身の悪戦苦闘や、その過程で考えたことも、この場でどんどん発信して、皆さんのご意見や反応をいただけたら、すごくいいのかもしれません。
更新頻度は乱れるかもしれませんが、皆さんに良いご報告ができるよう、動いてまいります!
すでに登録済みの方は こちら
