主ターゲットは「興味のない人」。さて、どうする?
こんにちは、まむしです。
今回は、「まじめなことを、そのことに興味がない人に伝えるとき、何をするか」について考えます。
先週お伝えした通り、いま、母の本を世に出すべく悪戦しております。
テーマは、病気を抱えた当事者の自己決定、です。
読んでほしいのは、普段そういうことを考えない人。
でも書店でこのジャンルの棚の前に立つのは、「興味がバリバリある人」だろうこともなんとなく想像がつきます。ううむ、むずかしい。
でも、こういうことって往々にしてありますよね。
一番伝えたい人は、このテーマに興味を持ってくれていない人。
今回は主ターゲットが「興味のない人」という、構造からして無理ゲーの案件で、僕が何をしているかを関門ごとに考えてみます。
■ 関門①:興味を持ってもらう
最初の関門で意識しているのは、主題で勝負しないことです。
興味のない人は、主題を磨いても振り向きません。
やっていることは2つ。 ひとつは、専門の言葉を暮らしの言葉に置き換えることです。
「当事者」「自己決定」と言ったとて、なじみのない人は自分事にできないと思われます。
だから「『お任せ』にした瞬間、暮らしの主語が消えていく」のような、制度を知らなくても自分の話として読める言い方を探し続けています。 ここが決まると、タイトルも帯も変わってきます。
もうひとつは、主題の外側にフックを作ること。 72歳の母が告知当日に「本を書きたい」と言った、という物語のほうから入ってもらい、まじめな中身はその扉の奥に置くみたいな設計です。そんなふうにあの手この手で、「どうしたら伝わる?」「どの切り口からいくべき?」と頭を抱えています。
■ 関門②:読み込んでもらう
入り口を突破されても、次の離脱ポイントが待っています。
まじめな本ほど、順序立てて説明したくなるのです。制度の背景、歴史、定義。 書き手には必然の順序でも、興味の薄い読者はその途中でいなくなります。
だからおいしいところを先に出して、説明はあとから追いかけさせる並びに組み替えています。 判定に使っているのは、「この章を、身近な子どもに一言で言うなら?」。記者をやっていたころ、よく使っていた脳内質問です。
一口に言えない章は、たいてい書き手の順序で並んでいて、読者の疑問の順序になっていません。
■ 関門③の手前で:そもそも、どこまで狙うか
3つ目の関門は「行動してもらう」です。
ただ大事なのは、その手前に「どこまで狙うかを決める」という編集判断がある、ということです。今回で言うと、①~③まである関門のうち、どこまで突破させることを目指すか。それによって注力すべきポイントも変わってきますし、ターゲットの人数も絞られて行きます。
ケアの話は特にそうで、読者に「いざというとき」が来ないかぎり、そもそも動きようがありません。
だからこのジャンルは、興味を持って、理解してもらえたら御の字、という側面が正直あります。 行動まで求めるのは、テーマによっては欲張りすぎなのです。
そういう意味でそのうえで母の本では、行動の「予約」だけ仕込もうとしています。 読んだ人が、いざというときに「そういえばあの本にあった」と戻ってこられる言葉を、本のあちこちに置いておく。そういう感じでしょうか。
読んだ直後に動かすのではなく、数年後の読者に思い出してもらうための設計です。 ここはまだ試行錯誤の途中で、答えが出ていません。
■ 今週の議題
・・・と、ここまで書いてみて、ちょっと今週から冒険的な取り組みをやってみたいと思っています。もしお考えがあったら聞いてみたいのですが、皆さんは「興味のない人」にメッセージを届けるとき、どんなことに気を付けていますか?
①興味を持ってもらえたら十分 ②理解してもらうまで ③行動するまで…のどの過程での工夫・考えでも結構です!
この狙いの定め方、あんまり編集系のスクールとかでも題材にならないわりに、現場では毎回突きつけられる問題だとも思っています。
集まった声は、この場で紹介しながら一緒に考えられたらな、と。
正直に言うと、この「どこまで狙うか」問題は、母の本を進めながら何度もぶつかっている宿題です。ひとりで唸っていても答えが出る気がしません。
皆さんの現場の話を聞かせてもらえたら、本当に助かります。立派な方法論じゃなくていいんです。ちょっとした一工夫でも、番号ひとつの返信でも大歓迎です…!
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