「仕事の相談相手」どうつくる?~ロールモデルとの距離の詰め方
何だか最近、人脈形成について聞かれることが増えてきました。確かに、僕自身はめちゃくちゃ人見知りなのですが、「この人とつながりたい!仲良くなりたい!」と思ったときの瞬発力というか、懐に入るのは比較的得意な感じはしており、その辺について記載したいと思います。
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【今回のいただいたお悩み】
「仕事の相談」とかって、どこまで許されるか不安です。
憧れやロールモデルになりそうなライターさんがいらっしゃいます。
その方々に「あなたのような仕事をするためには?」などなどお尋ねしてみたいことも多いです。でも何もGiveできないのに、そんな「ただ時間を取るだけの質問」をしてもいいのか?という思いから、声をかけられずにいます。
まむしさん的には、そのような質問はどう感じますか?
ご質問ありがとうございます!ロールモデルにしたい相手がいて、その人についてもっと知りたい・近づきたいと思ったときどうするか。そういうご相談だと受け取りました。
僕の話で言えば、「詳しく話を聞かせてほしい・キャリアについて相談させてもらえないか」と言われるようになってきたのですが、そうしたお問い合わせをいただけること自体はウェルカムではあります。自分とは違う境遇にいるかたの深い考えに触れられて勉強になりますし、そもそもこういうネットワーキングがしたくてSNSをやっているところもあったりしますし。
こう話すと無条件に「突撃して大丈夫っすよ!」とエールを送る感じになってしまいそうなのですが、一歩立ち止まって冷静に考えると、僕みたいな性格の人ばかりではないだろうな、とも感じます。
お忙しい方も多いですし、「時間を取られるのであれば、有意義なチャンスにしたい」と思う人が多いのは自然のことではあるでしょうし。僕みたいに「気軽に声をかけてくれていいのに」と思っている人もいはするものの、何も考えずに相手の時間を取る形になってしまうのは、長期的な関係を作る上でもあまりお勧めできないようには思います。
◆「自分には何もGiveできない」は、本当か
ご質問を読んでいて少し気になったのは「なにもGiveできないのに時間を取るだけの質問をしていいのか?」という点です。なにもGiveできないなんてことはないような気がするというか。ご謙遜もあるかもしれませんが、逆に言うとどんなGiveが提供できれば自信をもって声をかけられるのかというのも、ド直球で考えて見てもよいかもとは思いました。
確かにキャリアの駆け出し期で、相手に仕事をふれるわけでも、謝礼をたくさん払えるわけでもない中でこんなふうに考える気持ちもわかる半面、「相手がどんなことにメリットを感じる人なのかどうか」はもう少し見極めても良いかもなとか。
僕みたいに、「単に幅広い立場(だけど自分に興味を持ってくれる人)の人と話してみたい」というモチベーションの人もいますし、「後輩に何か教えるのが好き」という人もいます。あるいはもし、その「ロールモデルになりそうなライターさん」の執筆した記事に感銘を受けたのであれば、「自分の記事の熱烈な読者と会話してみたい」みたいな人もいるかもしれません。
意外と、どんなに有名で、お金持ちな人でも、その人自身のニーズや悩みって意外と素朴なものだったりもしますし、「少し時間をもらってお話したい」くらいのハードルであれば案外乗り越えられたりもするものです。
そうなってくると大事なのが「相手の性格やモチベーションをどう探るか」ですが、この辺がやりやすいのが、双方向性のあるSNSの強みのような気はします。
僕自身が、「このライターや編集者と繋がりたいな」と思った場合はやっぱり、その人の携わったコンテンツへの感想をとことん呟いたり、熱烈な一ファンとしてのムーブをSNSで展開して、まず顔を覚えてもらうところからスタートする気がします。
そこから徐々にやりとりをして、相手からリプライが飛んできたら、いつか直接お話ししたい旨を返信したり、自分が相手に協力できることがないかを聞いてみたりなど、コミュニケーションをスタートさせるというか。
相手の作るコンテンツにとっての「ファーストピン」の読者になれると自然と関係が縮まっていきますし、純粋にありがたがってもらえると思えるんじゃないかなあとは思います。
◆ロールモデルを見つけられたこと自体が大きな前進のような気もする
ちょっと話題がそれますが、そもそも今回の質問を読んで「この人みたいになりたい」と思えるロールモデルを見つけられているのってすごいな、とも思いました。
仕事をしていてそこまで思える相手を見つけようと思うと、その人のアウトプットや仕事観、背景にある考えの一端にも触れることになると思うのですが、こんなにも情報が錯綜している世の中で「この人はすごい」と特定の人物を掘り出せたことは、とても幸せなことなんじゃないかなあとも。
SNSが一般的になり、尊敬できる誰かと直接繋がるハードルは昔に比べたら段違いに低くなりました。「時代の利」をうまく使って、良い形でキャリアが開けると良いですね。
##コミュニケーションの「Giver・Taker・Matcher」
余談ですが、今回のお話で思い出すのは、アダム・グラントという方が「GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代」という書籍の中で紹介した「Giver・Taker・Matcher」という考え方です。これは人々のコミュニケーションスタイルを分類したもので、今回のような人間関係構築にも応用できるように思います。
Giverは他者のために惜しみなく与える人、Takerは自己利益を優先する人、Matcherは与えることと受け取ることのバランスを重視する人を指します。
この3者のうち、特に興味深いのがGiverの存在です。Giverにはさらに二つの類型があります。一つは「自己犠牲型Giver」で、他者のためにすべてを捧げ、自分自身のニーズを無視してしまう傾向がある人たち。もう一つが「他者思考型Giver」で、他者のために行動しつつも、自己利益も適度に考慮できる人たちです。
「Giver・Taker・Matcher」のうち、短期的に手っ取り早く成果を出せるのは「Taker」であるものの、長期的に見ると実は上記の「他者思考型Giver」が、最も成功しやすいタイプだとグラント氏は指摘しています。長期的な視点を持ち、他者との信頼関係を築きながらも、自身の成長や利益も忘れない。そういう人が良いのだとか。ただ難しいのは、逆に最も失敗するリスクが高いのは相手の利益にすべてをささげた結果燃え尽きてしまう「自己犠牲型Giver」だということです。特に自己犠牲型GiverがTakerと組んでしまうと悲惨なので、一定の距離をとることも大事だろうなとは思います。
今回の質問者さんはある意味、「Taker」になってしまうことへの恐れを抱いてのご質問という感じがするのですが、ロールモデルとの関係構築においても、この「他者思考型Giver」の姿勢は役立つのかもなとは思いました。相手の求めていることを日常の発信やコンテンツから想像し、ポジティブなメッセージを送り、自分にできることを惜しみなく提供しつつ、自分自身の成長も忘れない。そういう姿勢が大事なんでしょうね。
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