「社員はほとんど自社サイト経由で採用」。そんな会社が発信していること
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ウェブ制作会社のベイジさんでは、社員のほとんどが自社の採用サイト経由なんだとか。どんなことを意識してコンテンツを作っているのか、前回に続いて代表の枌谷さんに聞いてみました。
なお前回の記事はこちらです!合わせてご覧ください!
枌谷力さん(Xのプロフィールより)
BtoBサイト/採用サイト/アプリUIに強いウェブ制作会社ベイジ代表/CEO。福岡のデザイン会社gaz顧問。 NTTデータ→制作会社2社→フリーランス→起業。デザイン、ウェブ、マーケティング、コンテンツ、SNS、採用、組織デザイン等、幅広いテーマで活動。登壇執筆多数。2022年4月福岡移住。
◆コンテンツがバズるだけでは、意味がない
まむし(以下、「ま」)一方で採用広報って、人事の仕事の中でもごく一部ではありますし、そこにどこまで本腰を入れられるかというのは企業によりそうですよね。
枌谷さん(以下、「枌」)結局のところ「自分の会社は何者なのか」を相手に興味を持つようにわかりやすく発信し続ける。その結果自社を知ってもらってよいイメージが醸成されている状態を作っているということなんですよね。そう思うと、経営トップを巻き込んでいかないとなかなかうまくいかない構造になっていて。上層部を巻き込めないと、施策ベースのことしかできないだろうなとも思ったりはしますよね。
例えばコンテンツ単位でバズって、それがヒットして一時的にエントリーが増えるケースはちらほら聞きますが、求めていたような人材像ではなかったという声を聞くこともあります。かといって何も行動しないと会社の認知も広がらない――というのが、採用広報の難しさなんでしょうね。
ま)しっくりきます。でもそこまで来ると、「何のために採用広報をやるのか」という問いにもぶつかりそうな気もしてしまいます。。
◆幹部候補も自社サイトから。ベイジの取り組み
枌)うちの会社だと、社員のほとんどは自社サイトからのエントリーなんです。採用コストも比較的安いですし、幹部候補も全部自社エントリーで取れているので、従業員数50人程度という現在の規模感であれば、採用広報をそこまで戦略立ててやらなくてもいいかな、という見立てですね。採用云々は関係なく、「自社を知ってもらう活動をただやればいいんじゃなかな」と。
ま)え、なんだか意外です。ベイジさんって、すごくたくさん記事もお見掛けしますし、「採用広報に力を入れている企業」なんだと思っていたのですが。
枌)情報発信自体はたくさんしていていますが、自社へのエントリーを増やそうと計画的にやっているわけでもないんですよ。
というか、広報だけ研ぎ澄まされてもあまり意味がない問題があって。多分100人未満の会社だったら、製品が良かったらその業界内で話題になりますよ。下手に戦略をこねくり回して広報に力を入れるより、本業を頑張ったほうが良い。自社サービスの魅力を突き詰めて、口コミを誘発したほうが採用にも良い影響を及ぼすんです。
もちろんこういう考えが通用しやすい業態と、そうでない業態もあるとは思います。特にBtoBのサービスだと、いくら頑張っても「このサービスを作っている会社で働きたい」と思ってもらいづらい面はあるので、そこを翻訳する形での採用広報担当がいてもいいのかもなとは思います。
でも少なくとも今の私の会社は「広報いらない主義」。そして社長自身が発信すべきという感じですね。
ま)先ほど企業の規模感のお話がちらっとありましたが、従業員数が増えていくと、採用広報的な手法の重要度が増していく印象ですかね?
枌)組織の規模が大きくなってくると、取材依頼を受けるようになったりしますよね。外部からお声がかかった時の事務手続きだったり、できあがったコンテンツの確認だったり――。そういうことには担当を置いたほうが良いと思います。ただ、採用広報戦略をその人一人で考えるのも限界でしょうから、どんな規模であれ経営者や人事採用のトップの人が全体戦略を描くべきだろうとは思います。
ま)どんなに規模が大きくなっても、経営層が携わるべきことには変わりないんですね。
枌)やりたがらない人も多いですけどね。笑
でもやっぱり、会社の顔である社長の印象が良いと、転職活動時にも想起しやすくなります。「怖さも不安も少ないし、知らない会社よりも、いつも何だかいい話をしている”あの社長”の会社のほうがいいかな」とか。そういうことが意外と効いたりするんですよね。
◆「会社への信頼感」を高めるコンテンツの肝
ま)ここまでのお話だと結構、「採用広報に力入れるよりもまずは経営者がやる気になるべき」という感じで、若干採用広報に後ろ向きのようにも思えてしまうのですが、御社は求人コンテンツ制作にも強いですよね。「求人コンテンツに強い」というのは、具体的に何に強いんでしょうか。